最近はロボット技術や人工知能(AI)がものすごいスピードで進化を遂げています。
このまま進化が進めば、10〜20年後には現在日本にある仕事の約半分が失くなるだろうという研究もあるくらいで、将来は働き方や生活がガラリと変わることが予想されます。
しかし、正直なところ「保育士」という仕事がなくなるとは思いません。
人間の子どもを1から10までロボットが育てるようになる世界はイメージしにくいし、何よりそうなって欲しくないというのが正直なところです。
ただこの先、人工知能やロボットは確実に高度に進化し、保育業界にも入り込んでくるでしょう。
そうなった時にアタフタしないために、今のうちからできる対策を考えていきましょう!
ということで、今回は10年後の未来の保育園について考えていきたいと思います。
(注意:あくまで個人的な未来予測であることをご了承ください)
保育園の10年後の姿を大予想してみた!

今から10年後にあたる2027年の保育園では、保育士や子どもたちは一体どんな生活を送っているのでしょうか?
現在すでに実用化されている最先端の技術や、これから普及していくといわれているテクノロジーを参考に、「近未来の保育園」を考えてみましょう。
その1:保育園への送り迎えは自動運転
まず、朝の登園です。10年後には「自動運転」が当たり前になっているでしょう。
スマホから行き先を設定すれば、寝ていても目的地に着くことができる時代です。車にハンドルは無くなり、シートさえも前も向いている必要はなくなります。
もっといえば車の形をしている必要もなく、ただの大きな箱になっているかもしれません。

現在の保育園では、おにぎり片手に登園してくる子どもたちもいますが、近い将来、家から保育園までの移動中の様子は、まるでカフェのように、親子で優雅に朝食を食べながら登園してくる光景が、当たり前になるかもしれません。
もちろん、園バスも自動運転。運転手もいなくなり、ルート設定されたバスに保育士が一人で乗り、お母さんたちはリアルタイムでバスの位置を把握して、子どもたちを送るようになるでしょう。
その2:れんらくノートはオンライン共有
「れんらくノート」といえば、保育士と保護者が子どもの様子を伝え合いながら、関わりを持つ重要な手段ですね。現在は手書きのノートでやり取りをしている場合がほとんどです。
保育士が給食後などに、一生懸命「手書き」で書いているこのれんらくノートですが、10年後にはなくなっていることが予想されます。
この先は、どんどんスマホやタブレット端末を使ったオンラインでのコミュニケーションに変わるでしょう。
すでに北米をはじめとする英語圏では「Seesaw(シーソー)」というアプリの導入が進んでいるそうです。
実は、海外に限った話ではなく、日本国内でも、れんらくノートのデジタル化の環境は少しずつ広がってきています。
将来は、保育室に必ず1〜2台のタブレットが置いてあって、生活の様子(動画)や子どもが書いた絵(写真)を保護者に配信して、いつでも閲覧・保存できることが当たり前になっていくのかもしれません。
こうしたコミュニケーションアプリを活用することで、手書きではなく、画像や音声で届けることができるので、保育士の負担も軽減しそうです。
その3:AIが子どもの健康チェック
子どもたちが登園してきた時の朝の検温や視診は、保育士の重要な仕事です。
現在これらの仕事は、保育士が一人ひとりを体温計で測り、ケガがないか、顔色はどうかなどをチェックしています。
10年後の未来は、この光景も随分変化することが予想されます。
未来の保育園では、玄関や保育室にカメラとセンサーが設置され、子どもが通り過ぎるだけで「ピピッ」という電子音とともに、一瞬で体温・顔色・表情から子どもの健康状態を把握できるようになっているでしょう。
テクノロジーが進化すれば、子どもの免疫力や成長ホルモンの分泌量、睡眠不足なども分かるようになるかもしれません。
それらの情報は、当たり前のように保育室内のタブレットで一括管理できるようになり、保護者と共有することもできるでしょう。
その4:主活動にMR(複合現実)技術
MRというのは「Mixed Reality(複合現実)」と呼ばれるもので、最近はやりの「VR(仮想現実)」の進化したテクノロジーです。
現在は、図鑑を開いて子どもたちは動物や乗り物を平面的に見ますが、10年後には子どもたちが作る円の真ん中に立体的なホログラムが浮かび上がる光景が、見られるようになるかもしれません。
MR技術を使うと、例えば「クジラなら子どもから大人になるまでの過程」「獲物を獲る時の様子」「ジャンプする時の迫力ある様子」が、子どもたちの目の前に映し出されるのです。
VRではヘッドマウントという機会を装着して、そこに映し出された世界を見ますが、MRでは何も装着せずに机の上に画面や立体映像が浮かび上がるようになるのです。
子どもたちの想像力が、一気に増えそうですね。
その5:造形活動は3Dプリンターを活用
10年後の保育園では、主活動でも折り紙やお絵かきとともに「3Dプリンター技術」を使った活動ができるようになっているかもしれません。
設計図は、先ほどのMRやVRの技術を活かして、目の前で立体的に行うことができるのです。

これは一つの例えですが、5歳の子どもがレゴブロックで車を作ったとします。それをスキャンして3Dプリンターで出力すれば、自分が作ったままの車が目の前に現れるのです。
スキャンした情報を元に、子どもたちは色を変えたり、人が乗れる場所を作ったりもできるでしょう。
オリジナルの飛行機や船を作って、実際に飛ばしたり水に浮かべたりもできますね。女の子ならアクセサリーやままごとのアイテムを作り出すかもしれません。遊びの幅が広がりますね。
その6:給食は一人ひとりに不足した栄養を補えるメニュー
10年後の保育園では、センサーがより進化していれば、朝の健康チェック時に体温や体調とともに、体内の栄養状態も把握できるようになっているかもしれません。
もしそうなった場合、子どもに足りない栄養素や多すぎる栄養素が一瞬でわかり、その日の子どもたちの給食に反映されるようになるかもしれません。
一人ひとりの体調に合った「健康食」をロボットが調理するようになる可能性も考えられます。
また、登園時にチェックした栄養の情報は、保護者にも伝えられ、糖質や脂質といった食べ過ぎている栄養素や運動不足等が把握できることで、お母さんやお父さんも子どもの体調管理や健康促進に活かせるようになるでしょう。
その7:AIによる遊びの提案
今まで保育士は、子どもの様子やクラスの様子を見て「ねらい」を定め、「活動内容」を決め、主活動や生活の中で実践してきました。
子どもの発達の見極めや、遊びの引き出しの多さが、保育士として周りから尊敬されるポイントでもあります。
しかし、今後は児童記録や週案・月案等は「AI(人工知能)」とのやりとりを通して行うことになるでしょう。そうなれば、子どもやクラスの様子をAIが把握し、最適な提案をしてくれるようになります。
具体的な遊びの方法まで、動画で見せてくれるようになるかもしれません。
「ビッグデータ」と呼ばれる大量の情報を処理できる技術が、進化するからこそできる技です。AIは、子どもの発達過程にしても遊びの種類にしても、人間の保育士が覚えられる量をはるかに越えてきます。
その8:お昼寝中の呼吸・心拍・体調の変化は布団が管理
これも、そう遠くない未来に現実のものになるでしょう。
布団もしくは布団のシーツに高感度のセンサーが組み込まれ、心拍数や睡眠の深さが常に送信され続け、保育士が一目で把握できるようになります。
これは「乳児突然死症候群(SIDS)」への対策として爆発的に広まっていくと思います。
いま既に似たものはありますが、まだまだ高価なので導入が進んでいない保育園が多いのが現状です。
センサーで睡眠が浅い深いといったリズムも測ることができるようになれば、子どもの「目覚めがいいタイミング」も分かるようになり、寝起きにグズグズしたり、大泣きしたりする場面も減ってくると思われます。
10年後の保育園をイメージしてみよう

さて、ここまで見てきたように、AIやロボット技術が進化し続ければ、10年後の保育園の様子が、いま現在とは様変わりすることが予想されます。
その時に、保育士さんのあなたはその環境にうまく対応することができるでしょうか?
今この世には無いものを使って、子どもたちを保育するようになった時、保育士さんはそれを保護者や子どもたちにどのように伝えていけばいいのでしょう。
一つ言えることは、「何と関わるか」よりも「どう関わるか」が重要になることです。AIもロボットも3Dプリンターも、何かをするための道具です。
道具には使い方によって「人の役に立つ使い方」と「人を傷つける使い方」があります。保育士が子どもに教えなければいけないことは、人の役立つ使い方です。
そのためにはまず、保育士のあなた自身が、新たに導入される機械やテクノロジーの良いところと悪いところを把握することが必要になるでしょう。
10年経っても必要な保育士のスキル

10年後の未来をイメージしてみると、AIやテクノロジーの進化によって保育士の仕事内容が大きく変わることが予想されます。
じゃあ、保育士の仕事がなくなるのかといえば、それは無いと思います。
人間の保育士にしかできないことがあるはずだからです。特に「感情」や「情操」といった心を育むことは人間でなければ育てることができないと思います。
現在20代30代の保育士さんは、10年後に機械やIT技術に仕事を奪われないために、今のうちから「人間の保育士だからこそできること」を考えておく必要がありそうです。
それがあなたの強みになり、子どもたちや保護者から求められる先生としての魅力になるのではないでしょうか。
10年後、保育士として引っ張りだこの大人気を目指すなら、今のうちから保育に関わる最新のサービスや、最新テクノロジーについて興味を持ってみるなど、できることを始めておきましょう!!